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さらば - 畜産業は厄介払い

大量食肉生産に内在する苦しみは正当化できない。そして、人工食肉産業が成長するにつれて、家畜飼育に対しての最後の議論は今崩壊した。
次世代の人々が我々の時代を振り返ったとき、奇怪だと感じるものは何だろうか?奴隷制度、女性の征服、司法拷問、異端者の殺害、帝国の征服と大虐殺、第一次世界大戦とファシズムの始まり。これらのことを思い浮かべ、人間がしてきた戦慄を、なぜ見逃してしまっていたのかと自問するだろう。
我々の時代のどのような狂気が、我々の子孫に嫌悪感を与えるだろうか?
 
選択肢がたくさんある中で私は、肉や卵を食べたり、牛乳を飲むために動物たちを大量監禁してきたことが、その中の一つだろうと考える。私たちは自分たちを動物愛好家と呼び、犬や猫に贅沢な優しさを与えている一方で、同じように苦しみを感じる何十億もの動物に残忍な剥奪行為をしている。
そのあまりにもひどい偽善を、将来の世代はなぜ見落としてしまっていたのかと驚嘆するだろう。
 
安価な人工肉の開発とと共に、変化が起きるだろう。これまでも技術的変化に伴い、倫理的変化も促進されてきた。先月(2017年9月)中国が、人工肉を買うために300万ドル(約3億3000万円)の契約に調印したことは、畜産業の終わりの始まりと言える。だが、すぐに始まるわけではない。これからまだ何年も、多くの苦しみは続くだろう。
 
セレブシェフやライターが我々に、家畜を外で飼い、バタリーケージの豚肉ではなく、放し飼いの牛肉や羊肉食べることが解決法だと言った。しかし、こういったことのすべては、1つの災害(大規模な残虐行為)を別の災害(大規模な破壊)に置き換えることになる。ほぼ全ての畜産業は環境破壊の原因となっているが、屋外飼育は更に大きな原因となる。放牧は効率が悪いだけでなく、非常に無駄が多い。世界中で、作物のおよそ2倍の土地を家畜放牧のために使用しているが、牧草地で飼育されている動物は、1日1人当たり81g消費されるタンパク質のたった1gしか作られない。
 
Science of the Total Environmentの紙面は、「家畜生産は生息地を奪うたった一つの最大の原因だ」と報告している。
家畜を放牧することは生態学破壊を完全に自動化したシステムだ:動物を土地に放すだけで、残りは全て彼らがやってくれる。木の苗木を食い荒らし、本来複雑な生態系を単純化する。飼育者は、家畜の敵である野生の捕食者を大量虐殺することで、家畜による地球への攻撃を促進している。
Flock of sheep
カロリーでいうと、羊は我々の食事の1%ほどに満たない。しかし彼らは高台400万ヘクタールを占める。
(写真: Murdo MacLeod for the Guardia)
 

イギリスでは、カロリーでいうと、羊は我々の食事の1%ほどに満たない。しかし彼らの飼育には高台400万ヘクタールを必要とする。これは、この国の作物が栽培されているすべての土地とほぼ同等であり、建物が建つ面積(170万ヘクタール)の2倍以上にあたる。かつて私たちの丘を覆っていた熱帯雨林や他の生息地の豊かなモザイクは消え、野生生物は一握りの丈夫な種のみとなった。これらの損害の全ては、肉の生産にが原因である。

私たちの食事で肉を大豆に置き換えると、タンパク質1キロあたりに必要な土地面積が大幅に減少する。鶏肉の場合は70%、豚肉の場合は89%、牛肉の場合は97%もだ。
ある研究によると、もし我々全員が植物ベースの食事に切り替えるとすれば、現在畜産業に使用されている英国の1500万ヘクタールの土地を自然に戻すことができる。あるいは、この国は2億人を養うことができる。畜産動物飼育の終わりは、世界の野生生物、私たちの自然の驚異、そして壮大な生息地を救済することとなる。

今こそ、他の大きな変化と同じくらい徹底的な新しい革命の時が来た。それは植物ベースの食事への転換である。

当然のことながら、畜産動物を飼育する人々は巧妙な議論でその事実に反対している。彼らは、家畜の放牧は大気から炭素を吸い出してそれを土壌に貯蔵することができ、地球温暖化を和らげるか、さらには逆転させることさえできると主張している。400万人の人々が見たTEDの話で、牧場主のAllan Savory氏は、彼の「全体的な」放牧が、世界の大気を工業化以前のレベルに戻すのに十分な炭素を吸収できると主張している。しかし私がインタビューした際、彼が自身の主張を立証することができなかったことで、人気を落とすこととなった。
BBC ラジオ 4シリーズ、The Archersの農業ストーリー編集者Graham Harvey氏も同様の発言をした – 「私たちが工業化して以来、アメリカの平原は大気中にある炭素を吸収できるようになった。」と主張し、更にイギリス農村保護キャンペーンによって増幅されたという。世界中の畜産農業団体は、この見解を声高に促進している。
 
放牧と混乱と呼ばれる食品気候研究ネットワークの今週の報告では、この問題を解決しようとしている。「家畜を屋外飼育することで、大気中の温室効果ガスの総量を減らすことができるのか?」著者たちは調査に2年を費やし、300もの情報源を引用した。彼らの答えは明白だ。ノーである。
ほかの放牧システムよりはよいものもあるのは事実だ。ある環境下では、牧草地で育つ植物は、根を伸ばしたり枯葉を落とすことで、地中の炭素を吸収する。しかしSavory氏やHarvey氏のような主張は「危険な誤解を招いている。」彼らのような家畜活動家が提案する特別なシステム(「ホリスティック」、「再生」、「モブ」、または「アダプティブ」放牧とも呼ばれる)が炭素を更に貯蔵できるという主張を裏付ける証拠は乏しく、矛盾しており、もしも効果があるとしても、微々たるものである。
 
最善策は、家畜の放牧が排出する温室効果ガスを、20%から60%減らすことだ。これも過大評価かもしれない。この週に発表された「Carbon Balance and Management」誌の論文では、家畜のメタン(強力な温室効果ガス)の生産量は控えめに報告されていると示唆している。
 
いずれにせよ、牧草地の炭素貯蔵では、産業文明の気候への影響は言うまでもなく、動物自身の気候影響を補うことができない。更に多くの人々の誤解を招く前に、TEDがSavory氏の動画には注意書きを記載してくれることを期待する。
 
最後の議論が崩壊すると、私たちは不快な事実に直面したままとなる: 採炭と同様に、人間や他の種にとっての持続可能な未来と畜産は両立はできない。
莫大な環境コストにも関わらず、ほぼ利益を生まない放牧を拡大するよりも、土地を自然の復元と再野生化に利用した方が良い。壊滅的な生息地や種、多くの野生動物の減少を回復できるだけでなく、最新式の放牧よりもより多くの炭素を吸収できる森林や湿地、サバンナをも取り戻すことができる。
 
畜産業の終わりを受け入れることは難しいかもしれない。しかし我々は回復力と適応力のある種である。これまでにもセデンタリズム(長時間座ったままでいることや、体を動かさず静かにしている状態)や農業、都市、そして工業などの驚くべき変化に適応してきた。
今が新たな変革の時である。他の大きな変化と同じくらい大規模な変化、それは植物ベースの食事への転換だ。技術的には – あなたがどれほど肉に似た味を求めるかにもよるが(*Quornは私にとってチキンやミンチとほとんど見分けがつかない) – この変化はすぐそこまで来ている。 倫理的転換はすでに始まっている。今日でもローストビーフで有名な土地には50万人のヴィーガンの人々がいる。 言い訳、偽の事実、偽の慰めを放棄する時である。 私たちの子孫がするであろう道徳的な選択を、私たちがする時が来た。
 
*Quorn : コーン。イギリスで作られた肉代替え品。ヨーロッパを中心に19カ国で販売されている。
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