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もしも全人類が2050年までにヴィーガンになったら

「気候変動に打ち勝つ方法」だと主張 - マルコ・スプリングマン博士 - 食の未来に関するオックスフォードマーティンプログラムのジェームズ・マーティンフェロー
 

What if we all turned vegan by 2050?
 (写真 Olivia Gordon)

オックスフォードマーティンスクールのカフェで会ったとき、マルコ・スプリングマン博士はちょうどティータイムのおやつを終えたところだった。タッパーに入っていたのは野菜とキドニー豆とを合わせたブルグルに、自家製のピーナッツチリソースを添えたものだ。「クリーンイーティング(糖分、塩分、脂肪分の低い自然食品だけを使った食事を実践すること)が最近ではかっこいいとされているかもしれないが、ヴィーガニズムはまだイギリスでは一般的ではない。肉なし、乳製品なしの食品を簡単に手に入れることはできないので、ヴィーガンの人々は自宅で準備した食べ物を持参しなければならない。」
 
食の未来に関するオックスフォードマーティンプログラムのジェームズ・マーティンフェロー、マルコ・スプリングマン博士の研究は、動物製品への課税を提案したことで話題となった。彼の研究では、多くの温室効果ガスを排出する食品が、「排出ガス価格 」によってどのように影響を受けるかを、世界で初めて推測した。もし食品の温室効果ガス排出による気候被害を価格に反映した場合、牛肉の値段は4割、牛乳とその他の肉は2割高くなる。
スプリングマン博士とチームは、それほど価格が上がれば、温室効果ガスを多く排出する食品を食べる人は1割減るだろうと推測している。「4割も多くステーキに支払わなければならないとしたら、食べる回数を週に2回から週に1回に減らすかもしれない」と彼は言う。
 
もしも全世界が2050年にヴィーガンになったら、たったその一年だけで、温室効果ガスの排出量を三分の二減らすことができ、気候被害や健康に関する出費を2.5兆ドル(日本円で約280兆円)、世界の死亡率を10%(慢性疾患での死亡者が800万人)減らすことができる。
これらは全て、スプリングマンの研究モデルによるもので、保守的かつ過小評価かもしれないと彼は言う。
世界規模で、このより健康的かつ基本推奨を満たす食事を取り入れた場合、500万人の命を救うことができる。ベジタリアンの食事は700万人、そしてヴィーガンの食事は最大の効果をもたらすだろう。
 
What if we all turned vegan by 2050?
 

「私たちの研究が多くのメディアを惹きつけたのは、人々がこのような研究に興味があるということだ」と彼は言う。「私たちの食事が健康や環境に与える影響に対する態度や見方は、変わりつつある。」
「私は人々に、何を食べるべきか指示しようとは思わない。しかし、自分が食べるという行動が、世界にどのような影響があるのかを知ってほしい。」と彼は強調する。

ヴィーガンが明らかに健康的で地球にも優しいと言うことを10年前に知った彼にとっては、ヴィーガンになることはとても簡単なことだった。
ドイツで育ったスプリングマンは、ある食品が他の食品よりも健康的であることを常に漠然と認識してたが、その後、米国で物理学の博士号を取得する間、植物ベースの食事の健康への影響に関する科学的研究に出会った。
その証拠は彼自身がヴィーガンになるのに十分なほど強力なもので、自身も研究をするようになった。「買い物の仕方や食べ方を変えなければならなかった。毎日キッチンで新しい料理を試した。とても楽しかった。」と彼は思い起こす。それ以来彼は、肉や乳製品を食べたいと思ったことはないと言う。「食事方法をまた変えるなんて考えたことはない。私は研究者なので、素晴らしい研究に出会えば、それに基づいて自分自身の行動を変える。」

スプリングマンはテレビを持たず、「クリーンイーティング」という一時的な流行は耳にしたこともない。彼にとってヴィーガニズムは実践しやすくまた金銭的にも無理なく続けられるシンプルな食事である。
「全ての人がこの食生活を取り入れることができる。ヴィーガンのスーパーに行って8ユーロ(約1,000円)もするローオリーブパンを買う人にはなりたくない。」と彼は言う。

ロンドンのインペリアル大学が行なった最近のメタ分析によると、早死にを防ぐためには、私たちは一盛りの野菜と果物を毎日10食分食べる必要があるという。
オックスフォードの研究によると、ベジタリアンは肉食の人よりも1-2食分多く果物と野菜を摂取し、ヴィーガンではさらに1食分多くなる。「赤身の肉は非常に体に悪い。心臓病や心臓発作、二型糖尿病の原因となり、また加工されたものは発ガン性物質が含まれる。」

また環境にも悪いようだ。肉の生産は、交通機関と同じくらい温室効果ガスを排出し、それは食品に関するものの中では最大要因となっている。大部分は牛が生産するメタンと、元々森林だった地域への農地の侵入を促進する動物飼料の産業的成長によって引き起こされる。

What if we all turned vegan by 2050?
 

スプリングマンの予測では、食品生産による温室効果ガスの排出は、人口増加に加え、途上国におけるイギリスやアメリカと同様の肉の多い食事への願望により、温暖化を摂氏2度以下にすることは非常に難しくなるという。このままではいけないととスプリングマンは言う。「食習慣を変えて、牛肉や羊肉の消費を減らさなければならない。」

彼が期待するものは何か?「レストランや駅で植物ベースの食事を提供することが一般的になって、人々が簡単にその食生活を取り入れられるようにすべきである。多くの人々が小さな変化- 肉一つではなく半分 -には賛成するだろう。それは素晴らしいことだが、それであればなぜ徹底的にやらないのか?ヴィーガンオプションを定食にすることで、大抵はより健康で持続可能になり、また変化に対する大きなメッセージを伝えることになる。スーパーも植物ベースの食事のためにまだまだ改善の余地がある。

また、食品の値段は、その食品の健康や環境への影響を反映させるべきだと提案している。

もしも私たち全員がヴィーガンになれば、それは 範例的な変化となると彼は言う。「私たちの社会では、肉を力や男性らしさと結びつけることで不可欠なものとしてきた。」特に男性はヴィーガニズムに直面すると、「妙に攻撃的に感じ」たり、「個人的に攻撃されたかのように感じる。」
男性はヴィーガニズムについての教育や、肉を減らしてより多くにニンジンを食べても男性らしさが失われなうということに対して、安心させる言葉が必要かもしれない。正しく行えば、肉食はタバコのように嫌われるだろうと彼は言う。

地元オックスフォードについても、変化を望んでいる。彼は、赤身の肉がメインのディナーや正餐について、「大学と学生食堂は、食べ物となると昔ながらのままであることにショックを受ける。」と言っている。「オックスフォードをもっと植物ベースにしよう!」

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