カリフォルニア大学の科学者たちは、人間の体は赤肉を外部からの侵略者だと認識し、免疫反応を起こすことを発見した。
赤肉は追い出さなければならない外部からの侵略者、と体は捉える
サラ・ナプトン氏(科学ライター)著
2014年12月29日現在
何十年もの間、赤肉はガンと関連があるとされ、研究によると大量の豚肉、牛肉、あるいはラム肉を食べることは悪性腫瘍のリスクを高めるとされている。
しかし、何がこの現象を引き起こしているのか、科学者たちは今回初めて突き止めることができたと考えている。人間の体は、どうやら赤肉を外部からの侵略者とみなし、有毒な免疫反応を引き起こしているようだ。
他の哺乳類がなぜ、健康に有害な影響を何も受けずに赤肉を多く食べることができるのか、研究者たちは常に当惑していた。
今では豚肉や牛肉、ラム肉が、他の肉食動物の体内では糖質として自然に生産されるが、人間の体内では生産されないことを研究者たちは発見している。
これはすなわち人間が赤肉を食べると、体は外部から取り込んだ糖質で免疫反応を発動させ、炎症、しいてはガンを引き起こす免疫体を生産する。
他の肉食動物だとこの免疫反応は起こらない。なぜならこの糖質 、N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)と呼ばれる糖質がすでに体内に存在しているからだ。
カリフォルニア大学の科学者たちは、Neu5Gcが体内生成されないよう遺伝子操作されたネズミに糖質を与えることで、腫瘍が自然と大きくなったことを証明している。
「これはネズミの状況を人間のものに正確に似せて、ガンの発生率が高まることを初めて証明した」と、カリフォルニア大学の細胞薬学・分子薬学のアジト・ヴァルキ教授は言う。
「人間で最終的に証明するのは、これよりはるかに難しいだろう。この研究はまた、慢性的な炎症により悪化するとされるその他の病状、たとえばアテローム性動脈硬化症や糖尿病II型と赤肉消費との有力な因果関係も説明してくれる。」
「もちろん、赤肉の適度な消費量は若者にとって良い栄養源にもなり得る。この赤肉における複雑な状況を、私たちは研究によって現実的な解決策に導けることを願っている。」
赤肉はたんぱく質やビタミン、ミネラルの良い供給源だが、体の成長に関する調査では赤肉の取り過ぎは長期の健康においては良くないとされている。
ヘルス分野の専門家たちは赤肉の摂取量を1日あたり70g、つまりハム3切れ、ラム肉1
片、ローストビーフ2切れまでを推奨している。
6月に発表されたハーバード大学の研究では、赤肉を多く含む食生活は女性の乳ガン発生のリスクが22%上昇したと提唱している。
2005年のある研究によれば、1日160gの赤肉を毎日摂取していた人たちの1/3に大腸ガンの疑いが見られたという。
UKの平均的な人では赤肉の摂取量が1日あたり70g(男性では88g、女性では52g)だが、人口の33%が1日100gもの赤肉を摂取している。
前述の研究では、赤肉の色素が消化機能に関連するDNA細胞にダメージを与えるかもしれないと発表している。
この新しい調査は科学専門誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」で発表されている。