牛乳は健康か?カナダの新しい食品選択ガイドラインによると、必ずしもそうではない
カナダが発表した新しい食品選択ガイドラインから、明らかに消えたものがある – 1日の乳製品の摂取量だ。ガイドラインからは食品グループが全て削除され、種類豊富な未加工の食品を摂取するよう推奨している。2007年に更新されて以来3年間の協議を経て、火曜日(2019年1月22日)に最新のガイドラインが公表された。この変更は菜食主義者が称賛する一方で、酪農団体の怒りを買っている。カナダの食品選択ガイドラインは、カナダ国民に対して、最良の健康を得るための栄養面でのアドバイスを提供している。最新版では、これまでの基準であった食品グループや摂取量などを排除し、また100%のフルーツジュースが果物の代替品にはならないとしている。何年にもわたって国民は、このガイドラインが食肉業界や酪農業界に媚びへつらっていると批判してきた。最新のガイドはこれを正していると、カナダ保健省の栄養政策と推進の局長、ハサン・ハッチンソン博士は言う。ガイドラインが公表される前日、「証拠ベースで見たときに、業界も出資して作られたレポートを使用することはないことは明確になった」と、記者に伝えた。
日に三度は終わりに
カナダやその他の西洋文化において、乳製品は長い間健康基準の中心的役割を果たしてきた。1942年にガイドが初めて制定されて以来、カナダ国民は日に数回、乳製品を摂取するように推奨されてきた。
しかしそれも終わりだ。
ガイドでは、具体的な摂取量を推奨する代わりに、乳製品を他のたんぱく質と一括りに扱っている。
カナダ国民に推奨されている皿の上は、果物と野菜が半分、でんぷん質や穀物が4分の1、そして残りの4分の1をたんぱく質が占めている。
皿を使った例えは、具体的な食品リストや摂取量ではなく、より直感で理解できるものが望ましい。
アメリカも同様に、2011年に食品ピラミッドの図表から「マイプレート」に変更したが、カナダの食品ガイドとは異なり、4つに分けられた皿の上には、グラスに入ったミルクが描かれている。
新しい食品ガイドでは、ジュースに加えてチョコレートミルクも、成長期の小児肥満症の危機の原因として挙げられている。
何十年にもわたって、親たちは子供に乳製品を摂取させるために、味付けされた牛乳で気を引いてきた。
しかし新しいガイドによると、砂糖の量が栄養面での効果を上回るとのことだ。最近の研究によると、子供たちの砂糖の摂取元の大半は甘味飲料であるとわかっている。
乳製品販売店は幻滅
肉と乳製品が必需品から外れたことは、栄養と代謝のカナダの研究委員長であり、トロント大学の教授でもあるデイビッド・ジェンキンス博士を含むベジタリアンとヴィーガンの支持者から称賛されている。
ジェンキンス博士は1980年代に血糖インデックスを作成して以来、環境上の理由から、野菜中心の食事をしている。
この新しいガイドについて彼は、「このガイドはより野菜中心の方向に向かっていて、怒りを買うことになるだろうが、それが進むべき方向だと思う。われわれは、人間の健康のために重要だからと、誤って牛乳と母乳を同じように位置づけてしまった。」と言っている。
当然のことながら、酪農業界はこの変化を喜ばしく思っていない。
最近のアメリカ、メキシコ、カナダ間で貿易同意があったこともあり、今月初旬(2019年1月)、カナダの酪農家たちは新しいガイドがカナダの農家を苦しめることになるという声明を出した。
声明は、数々の牛乳の健康的効果を示す研究結果とともに、「健康的な食事の中で牛乳の役割を最小限にする科学的根拠はない」としている。
多くのカナダ人が環境や健康、道徳的理由から肉や乳製品を減らしているときに、ガイドは公表される。サイエンティクスカナダによると、2009年以降牛乳の消費が減る一方で、植物性の牛乳代替品の商品が増えている。
その点では、新しい食品ガイドは将来を予期しているわけではなく、追いついてきたと言える。
「果物や野菜をたくさん食べるべきと言うことは特に新しいことではなく、人々は長い間そう口にしている」とジェンキンス博士は言う。
「これは急進的なことではない。」